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The Green Race Hong-Kongに出場して

 4月1日、香港で開催されたThe Green Race Hong-Kongに出場してきました。
 4月の香港は、日本でいう初夏。この日も気温は25度まで上がりセミが鳴く程の暑さ、1週間前には雪が降っていた日本とは大違いです。
 海外のレースは2回目。暑さに対応できるかという不安はありましたが、トリプルマスタークラウンでの招待としての参加、「思い切り楽しもう」という気持ちでその日を迎えました。
 レース会場は地域の集会所。日本のレース会場なら、のぼりやスタートゲート・ランニング用品のショップなどが選手を迎え、大音量のBGMで雰囲気を盛り上げてくれます。しかし今回の大会では、日本の3分の1くらいのゲートに受付ブースがあるのみで、日本のそれと比べるとこぢんまりとした印象です。受付での配布物も、ナンバーカードに携帯コップ・補給食だけで、大会冊子や広告・安全ピンなどは一切入っていません。
 少し寂しいな・・・そんな思いもすぐに払拭されました。この大会の主催者であるThe Green Race は、「ZERO WASTE EVENT」を理念としていて、過度な演出・装飾は省き、ごみを出さない・環境に配慮したものを積極的に取り入れる事を推進している団体だったからです。それはレース会場・配布物のみならず、エイドステーションでもオーガニック食材や包装紙のない食べ物を提供するなど、大会の至る所でその理念が一貫されているように感じました。

 そんな日本のレースとの違いに感銘を受けつつ準備をしていると、見覚えのある選手の顔。香港・アジアのトップトレイルランナー・Siu Keung Tsang選手【2013・2014 UTMB18位、2016 The North Face H.K.100優勝】(ストン選手)でした。写真を撮ってもらい、一緒に走れることに興奮気味の自分。「せっかくのチャンス、行けるところまでついて行こう。」と心を決めスタートラインに立ちました。

 和やかな雰囲気の下、レースはスタート。住宅地の中を2kmほど進み、登山道へ。この時点でトップ集団はストン選手と自分だけ。終始安定した走りに先導されながらついて行くと、ストン選手から話しかけてくれた。頭をフル回転させて会話をするが、半分ほどしか理解できない。自分の拙い英語に、親切丁寧に対応してくれたストン選手の優しさに感謝感激。早速、海外レース・トレイルレースならではの魅力に触れる。
 しばらく一緒に進み10kmからは自重し単独走になる。香港のトレイルは岩盤が主で階段も多く、脚には堪える。11時で気温はすでに20度、日本との環境の違いに身体が対応できていない。25kmで3位とは5分以上離れていることを確認するも、早くも登れなくなってきていることに不安を覚える。
 30~40kmは海近くの平坦なトレイルを進む。香港の木は低く、山にいても直射日光を浴びる。気温はさらに上がりバテバテ。まだ半分以上残る距離に頭を悩ませながら歩を進める。35km、上半身裸のランナーが凄いスピードで迫ってくる。二言三言会話をするが、勢いがまるで違う。ついて行けない。40kmでまた一人にかわされ4位。45km以降は、アップダウンの激しいパートに入っていく。
 香港の山は低い。今回のコースも最高で639m(黄嶺)と、日本のレースと比べてもかなり低い。しかし、山が多い!
 一つ一つの距離は長くないが傾斜がきつく、岩場も多い為登りも下りも油断できないパートが続く。

 52kmのエイドステーションで食べ物・水分を摂取。日本人だとわかると、「ガンバッテ!」の声。まさかの日本語に勇気をもらう。陽が傾いてきたことも相まって、少しはまともに走れるようになってきた。
 レース終盤、稜線を進む。山は低いが木がないため、その眺めは最高!前日の雨で空気が澄み、遠く離れた香港島の高層ビル街・連なる山々まで一望できる。まさに絶景!折れかけた気持ちを何とか繋ぐ。小刻みにリズムよく走ることだけを意識して上り下りを繰り返す。
 長く、厳しく、そして美しい稜線を超え、階段を下っていると、代表の野々山さんが山の中腹まで応援にいらっしゃっていた。「オイッ!頑張れ!!」の声が、疲弊しきった身体に響く。ラストスパート!最後は動かない脚を無理やり動かす。夕方6時を過ぎ、薄暗くなりかけたころやっとのゴール。
  
◆The Green Race Hong-Kong 70K
距離72km 累積標高3996m 
【10時間23分20秒 総合4位(18~35歳の部1位)】 


 トップとは1時間以上離され、決して満足できる走りではありませんでしたが、海外の選手と一緒に走れたこと、香港を一望できる最高の眺望、そして大会を支えて頂いたスタッフの皆様・野々山さんに助けられ、最後まで走り切れた今回のレースは、とても思い出深い充実したレースとなりました。
 最後になりましたが、今回このレースに参加させて頂くにあたって、航空券・ホテルの手配等から、滞在中も付き添い頂き、お気遣い頂いた代表の野々山さん、細川さんには感謝しかありません。本当にありがとうございました。
 
また香港を走りたい。今度は、もっと走力も!語学力もつけて!!
                            2017.4.9 生田 貴裕